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Our story
其々のストーリー

Haruka Shiota

2021年4月入社 看護師

自分たちにできる最大限の選択肢を考える。

患者様を支えたいという思い。

私が中学生の頃、叔母が看護師学校に通っており、その文化祭に遊びに行ったことが看護師という職業に興味を持つきっかけでした。
当時の私にとって看護師は、少し特別な仕事だったんです。
祖父が入院していたので、病院は身近なものでした。
身近なもののはずなのに、看護師がどういう仕事をしているのか分からない。
しかし文化祭で実際に働いておられる看護師さんのお話や普段使用している機材の紹介、血圧を測ったり等、様々な体験をさせてもらったことで、看護師という仕事の重要性が見えてきました。
それから祖父を担当してくれていた看護師さんと話をするようになり、私も患者様を支えたいと思い看護師になりました。

私が最初に配属されたのは化学療法科だったので、抗がん剤を使用されている方等、余命わずかの方が多かったんです。
ある日、先輩が「病院の天井を見ながら過ごすより、可能であれば自分の家で過ごしたいよね。」とお話くださいました。
病院だと面会時間が限られてしまうし、その患者様が最後にしたかったことを実現させてあげることも難しかったりします。
私はその話を聞いて、家で過ごしたいという想いや家でしたいことを叶えてあげたいと思うようになり訪問看護に興味を持ちました。

病気になる前の過ごし方に寄り添い支えていく。

結婚を機に引っ越しの必要があったので訪問看護に挑戦しようと思い、転職活動を始めました。 看護の紹介会社に、私の想いを伝えたところクリオをご紹介いただきました。
面接では井芹さんからは今までの訪問看護の経験を。
佐々木さんからはクリオの働き方についてお話くださいました。
井芹さんはベランダから明石海峡大橋が見えるお家に住んでいるご夫婦の話をしてくださいました。 今でも鮮明に覚えているので紹介します。

ベランダから明石海峡大橋が見えるお家に住んでいる仲良しご夫婦。その夫婦はベランダに出て一緒に晩酌することが日課でした。
ご主人が癌を発症してからは夫婦の暮らしの中心にはいつも「病」がありました。
訪問時に二人が話す内容はいつも病に関することでした。
病状は進行し、次第に寝たきりとなり喋ることも儘ならない中で、ご主人が「二人で明石海峡大橋を見たい」とおっしゃったそうです。
リスクと隣り合わせではありましたが、今しかないと判断し明石海峡大橋が見えるベランダまで介助して移動しベランダで立ち上がり外の景色を眺めたそうです。

ご主人「おい。家族で最後に淡路島に行ったのはいつやったっけな?」
奥様 「◯◯が高校生の頃じゃないかしら。」
ご主人「随分長いこと行ってないなー。こんなすぐ近くにあるのにな」
奥様 「そうですね。」
ご主人「またみんなで行きたいな。◯◯で食べたご飯が美味しかったな。」
奥様 「あれから随分と時間が経ちましたね。」
ご主人「いつもありがとう。これまでもありがとうね。」

短い時間ではありましたが、そこには病などなく、夫婦の時間があったそうです。
たとえ治らない病気であっても、「今」を変えることはできる。
私たちの関わりがきっかけで「今」が変わることがある。
その人を大切に想う方のこれからが変わることがある。

上記の話をお聞きして、病気はその方が生きている中で必ずついてまわる問題ではありますが、病気になる前の過ごし方に寄り添い支えていくことが素敵だと思いました。
佐々木さんからは、「利用者様の希望に寄り添うことは大切にしていますが、スタッフの働き方についても大切にしています。スタッフ一人ひとりが利用者様を大切に想っているので、カンファレンスや話し合いが自然と行われる職場です。」とおっしゃってくださいました。
井芹さんと佐々木さんの話をお聞きしたことで、利用者様一人ひとりに向き合える時間もあり、自分の家庭も大切にできる温かい職場だと思い入社を決めました。

その人の決定が心からの決定ではない。

お母様と一緒に住んでいる、がん末期の利用者様を担当させていただいたことがありました。
その方は自分1人で歩けなくなれば、家ではなく病院で過ごしたいとおっしゃっていたので、私は希望を叶えようとしていたんです。
そのことをいろんな先輩スタッフに相談したところ、「お母様に迷惑をかけたくないから、病院にいきたいとおっしゃっている可能性もあると思う」とアドバイスをいただきました。
私にとって初めてのがん末期の利用者様だったということもあり、そのような心理もあるということが分かっていませんでした。
あらためて利用者様に、家で最後まで過ごせるようにサービスを整えるという選択肢もあることをお伝えしたところ、「できれば家で過ごしたいです」と言われました。

その人の決定が心からの決定ではないケースもあるということを学びました。
人は、その場その場で気持ちも選択も変わるものです。
その人のしたいことにただ寄り添うのではなく、しっかり利用者様の話をお聞きし、自分たちにできる最大限の選択肢をお伝えすることが重要だと思いました。
これからも利用者様を想う気持ちを大切にし、「らしさ」に寄り添う看護をしていきたいです。

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